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HN:沙織(父)
キャリアブレインというネットニュースからの引用です。
http://news.cabrain.net/article/newsId/27258.html
国際治療教育研究所は4月17、18の両日、「高次脳機能障害 脳損傷リハビリテーション・セミナー」を東京都内で開催した。セミナーには言語聴覚士や作業療法士など約240人が参加。講演した英グラスゴー大応用神経心理学のジョン・エヴァンス教授は、患者の問題を把握するために「フォーミュレーション」を作成して患者と共有し、患者中心のゴール設定を行うといったリハビリでのさまざまなアプローチを紹介した。
同セミナーは、国内外の専門家の講演を通して、脳損傷に関する基礎知識とリハビリのノウハウの共有を目指す取り組みの一環。
1日目は、川崎医療福祉大医療技術学部感覚矯正学科の種村純教授が「認知リハビリテーション 最近の動向」と題して、エヴァンス教授が「神経心理リハビリテーションの原理と実践」「記憶のリハビリテーション」「遂行機能のリハビリテーション」について講演した。2日目は、大東祥考・京大名誉教授が「外傷性脳損傷における情動・社会行動障害」について解説し、エヴァンス教授が「情動情緒障害のリハビリテーション」「洞察とアウェアネスの障害のリハビリテーション」「外傷性脳損傷者に対する職業リハビリテーションと職業復帰」をテーマに講演。
両日とも会場を交えた質疑応答も行われた。
エヴァンス教授は、自身が指導する神経心理学的リハビリテーションについて、患者の感情や身体の問題、認知障害などの因子の相互作用を記述、表現する「フォーミュレーション」を患者と共有し、患者中心のゴール設定を行う手法を紹介。ゴール設定については、患者の動機付けなどを探りながら、患者にとって意味あるものにする重要性を指摘した。また、設定に当たって患者とディスカッションをするためには、患者自身が自分の行動や考え方をどう変えたいのかのアイデアを出せるような働き掛けが必要との考えを示した。
セミナーを終えるに当たり、種村教授は「今回のセミナーが契機になって、わが国の高次脳機能障害者に対するリハビリテーションが変わっていくと思う。(エヴァンス教授が紹介した)アイデアをぜひ取り入れていただきたい」と述べた。
またエヴァンス教授は、「実際に患者と一緒に取り組みをしていく中で、まずinterdisciplinary team(集学的チーム)での取り組みを取り入れていただきたい」と述べ、多職種が連携して取り組む必要性を強調した。
同セミナーは、24、25の両日に大阪でも開かれる予定で、約300人の来場が見込まれている。
( 2010年04月19日 13:18 キャリアブレイン )
----------引用以上------------------------------------------
>患者中心のゴール設定を行う手法を紹介。ゴール設定については、患者の動機付けなどを探りながら
>患者にとって意味あるものにする重要性を指摘した。
ニュースなのでどの程度教授が話されていたのか詳しい事まで分からないのですが
”ゴール設定”って所にちょっと・・・患者の望むゴールって何処?
発症以前の体を望むんじゃないですか?それって・・・。
まぁ、そうじゃなくて患者の意見を聞きながら治療やリハビリ方針を立てるって事だと思うのですが
実際に聞いてみない事には分かりませんね。
多分、もっと深い所まで考えていらっしゃると思いますが
この、キャリアブレインでは皆さんご存じの山田先生のインタビュー記事も掲載されています。
高次脳機能障害に向き合う医師
医師・ノンフィクションライター 山田規畝子さん
高次脳機能障害のリハビリテーション医として活躍する山田規畝子さんは、脳卒中に伴う高次脳機能障害に自らも向き合っている。この障害によって外科医としての道は絶たれたものの、同時に医師として「自分にしかできない仕事」も見えてきたという。(兼松昭夫)
■時計が読めない!
山田さんはこれまで3度にわたって脳卒中を乗り越えてきた。外科医を志す大学2年生の時、軽い脳出血を起こしたのがはじまりだ。四国の病院で院長として活躍しはじめた30歳半ばのころには、脳梗塞と脳出血を併発した。手術によって一命はとりとめたが、目が覚めると世界はそれまでとは一変していた。
例えばボールペンをどう使うのかが分からない。時計の針の読み方も、トイレの水の流し方も忘れていた。目の前の階段が下りなのか上りなのかが区別できず、踊り場に立ち尽くした。
山田さんと高次脳機能障害との付き合いが、この時から始まった。
高次脳機能障害は、事故による脳外傷、脳梗塞や脳出血といった脳血管障害等で脳を損傷した後に起きると言われる。精神的に疲れやすい・集中力がない・記憶が維持できない―などさまざまな症状が現れ、日常生活に支障をきたす。
他の障害と違って周囲からそれと分かりにくいため、周囲の理解や援助をなかなか得られないという問題もある。
「本当はわざとやっているんじゃないか」
いろんな失敗を重ねるうちに、山田さん自身、周囲のこんな誤解を招いたこともある。
■頭の中の「前子ちゃん」
山田さんはやがて、頭の中に「もう1人の自分」がいると感じるようになった。
「ちょっと待ってて」「この部屋にあるかも」
例えば服の着方が分からずに戸惑っていると、もう1人の自分が“頭の中の部屋”を回り、失ったと思い込んでいた記憶の断片を集めて来てくれる。それらをつなぎ合わせることで、状況に合った行動をとれるようになった。
自分を支えてくれるこの存在について、高次脳機能障害の専門医からは「前頭葉の機能が関与している可能性が高い」と聞かされた。
「前子ちゃん」
頭の中の頼りになる存在を前頭葉にちなんでこう名付けた。山田さんは今、なんとか日常生活を送れるまでに快復した。奇跡的な快復を実現できたのも、前子ちゃんの助けによるところが大きいとみている。
「私には『前子ちゃん』がいない。どうすればいいか」
同じ高次脳機能障害に悩む若者からこんな相談を受けることがある。前子ちゃんがどこから来たのかは山田さんにもよく分からないが、これまでの人生の中で積み重ねてきたさまざまな経験が前子ちゃんの下地になっていると感じさせられるふしがある。
若者の頭にも前子ちゃんはおそらくいる。ただ、若さゆえに十分に育っていないだけ。自分自身がどんどん経験を積めば前子ちゃんも育つはず―。そう考えている。
だから、若者たちにはこう呼び掛ける。
「楽しいことだけでなく面倒なことや辛いこと、しんどいことも社会に出て経験してほしい」
■「患者は聞いている・憶えている」
高次脳機能障害は、山田さんに新たな気付きをもたらすきっかけにもなった。
3度目の脳出血の急性期段階。
もうろうとする意識の中で、山田さんは点滴の針を自分で抜いてしまったことがある。すると、意識がないはずの頭の中に看護部長の怒鳴り声が響いた。
「なんでこんなことをするの? 医者のくせに!」
医療スタッフたちは、“意識がない”山田さんのベッドサイドで不用意な発言を繰り返した。山田さんは、6年が経った今でもその時の言葉を憶えている。
「『どうせ憶えていない』と思っているんでしょうけど、(患者は)意外と聞いているし、憶えています。『あの人が言ったんだ』と長いこと憶えている」
患者を支えるはずの医療スタッフの心ない言葉に傷付く患者がいる―。医療現場のそんな実態がみえてきた。
ストレスと飽食の時代。脳卒中を起こして障害を負うリスクは誰にでもある。
万が一そうなったとしても、何とか希望を持って生きてほしい。そんな思いを自著「壊れた脳 生存する知」(講談社)にこめた。
山田さんは今、自分自身の高次脳機能障害に向き合うことで、自分にしかできない医師としての仕事がみえてきたと受け止めている。「この病気に出合えたのは強運のおかげ。ラッキーだったと思う」
( 2007年12月31日 20:14 キャリアブレイン )